【MATRIX】時間や空間を越えて世界とつながる「どこでもドア」が描く未来

    0
    331

     

    MATRIX 取締役CTO
    米倉豪志

    メタバースの普及により、真の意味で世界中の人々が自由につながれる時代が近づいてきた。今回、世界100カ所以上にネットワークを有する“リアリティメタバース”プラットフォームである「どこでもドア」を開発するMATRIXの米倉豪志CTOに、開発の経緯と今後の展望を聞いた。

     

    人と人の間にある、あらゆる壁を取り除きたい



    ──「どこでもドア」はとのどのようなメタバースプラットフォームでしょうか

    米倉 リアリティメタバースを実現するためのプラットフォームで、実写をベースとしたワールドが1,000以上存在しており、ユーザーはその世界を自由に見て回ることが可能です。

    世界中に100以上のコミュニティが存在し、多数のクリエイターがそこで自分たちのワールドを作っています。われわれは彼らを「メタバーサー」と呼んでおり、彼らは自分たちのワールドに人を集めて日々イベントを開催しています。その内容も様々で、街を散歩しながらみんなで会話したり、カラオケを楽しんだり、勉強会をしたりと多岐にわたります。

    先日もとある海岸に人が集まり、カメと共に海を泳ぐイベントが開催されました。遠く離れた国の人々と、同じ時間や空間を気軽に共有することができる時代が訪れたことを嬉しく思います。

    ──「どこでもドア」はどのような経緯で開発されたのでしょう

    米倉 当社は元々AI翻訳技術の企業で、その理念は言語だけでなく、人と人との間にあるあらゆる壁を取り除くことにあります。時間や空間を越えて世界中の人々が自由につながれる、そんなプラットフォームを目指して「どこでもドア」は開発されました。

    「どこでもドア」にはAI翻訳技術が搭載されており、あらゆる国の人が何一つ不自由することなくコミュニケーションを取ることができます。特にメタバースにおいては物理的制約がほとんどなくなり、AI翻訳技術はその人の能力そのものとして行使されるため、今後はなくてはならない機能になっていくことでしょう。

    リアリティメタバース「どこでもドア」では、360°の自由な視点で臨場感のある空間に没入できる

     

    メタバースはやがてリアリティに行きつく



    ──リアリティメタバースへのこだわりについて教えてください

    米倉 最終的にメタバースは、リアリティに行きつくと考えているからです。メタバースはいまだ黎明期にあり、種々様々なプラットフォームが日夜開発されています。比率でみると3DCGを用いたメタバースが多く、ゲームなどに親しんだ世代が多いことから、それこそがメタバースだと思われがちですが、それは本質ではないでしょう。

    大切なのは人と人が、時間や空間を越えてコミュニケーションを図ることであり、そのためにはリアリティがなくてはなりません。アンリアルエンジンが近年では写実的な映像制作に使われているように、メタバースもやがて写実的な需要が追い付いてくるはずです。そのため、回り道をするのではなく、最初からゴール地点を見据えた結果、「どこでもドア」は写実的なリアリティメタバースとなりました。

    ──メタバースで用いられるアバターも本人に近いものが望ましいのでしょうか

    米倉 私はそう考えています。現在のメタバースはVTuberのようなデザインが主流ですが、メタバースの向こう側にいる人を感じられるようなデザインが望ましいでしょう。「どこでもドア」にも3DCGのキャラクターがいますが、表現を制限することで向こう側にいる人があぶり出されるような、一種の写実的表現だと感じています。

     

    AIと人間が協働することで無限に広がる世界を



    ──「どこでもドア」の今後の展望をお聞かせください

    米倉 当社はこれまで膨大な数の360°映像を撮ってきました。現在、それらを学習素材としてAIによるワールドの自動生成に着手しています。既にβ版をリリースしており、今はその精度を上げるトレーニングを行っている最中です。

    AIが自動生成したメタバースワールド(プロトタイプ版)

    さらに、AIが生成したワールドは平面でなく、3D化して空間内を自由に歩き回れるようにしていく予定です。近い将来、人間とAIが協働して作っていく広大なワールドが完成するでしょう。

    そしてその無限に広がるメタバース空間で、人々はコミュニケーションを取り、経済活動を行うことになります。もちろん、AIがワールドを作るだけでなく、メタバーサーのクリエイティビティが従来よりさらに発揮しやすくなるプラットフォームを目指していますので、今後の展望にご期待ください。

     

    米倉豪志
    デジタルクローン開発者/経営者/作曲家。2000年、データ圧縮技術の発明、開発、特許を取得。国内最大級のモバイル検索サービスの設計を行う。2001年、株式会社メディアドゥ取締役に就任。2013年、株式会社未来少年CTOに就任。2014年、FIFTYFOUR CREATIVE INC. (カナダ) 代表。2016年、株式会社オルツ取締役副社長に就任。2022年、株式会社MATRIX 取締役CTO。

    株式会社MATRIX
    株式会社メタリアル(旧:ロゼッタ)の子会社として 2020 年 9 月に設立。
    リアル&ソーシャル系メタバース「どこでもドア」、メタバース先端技術研究組織「MATRIX GENESIS LABS(MGL)」を開発・運営している。

    ◆どこでもドア
    https://dokodemodoors.com
    MATRIX GENESIS LABS(MGL)
    https://youtu.be/qgG5Owht_fk